少し前のこと。
百草の安藤雅信さんによる茶懐石に趣いた折、
ガラス作家の辻和美さんと席を同じくさせていただき、
そのおふたりの会話を生で耳にすることができた。
辻さんは安藤さんに投げかける。
「基本を得てこそ、外すことが出来るのですね。
わたしには基本がない。それに気がついたらもうモノ作りは出来ない」
安藤さんは穏やかに答える。
「そうやって作家は作らなくなる。だけど、乗り越えて下さい。
乗り越えた先の世界はもっと拡がりをみせてくれます。
わたしより上手い作り手はたくさんいます。
そんな人でも作らなくなってしまう人がいる。
乗り越えてください」
くぅーーーかっこいいーーー安藤雅信!!
この言葉は、その日から私の宝物になった。